黒歴史日記。

なで肩です。

失恋とマヨネーズについて

ある日突然、1年半くらい付き合っていた彼女から

「距離を置きたい。」と言われた。

「今のあなたは余裕がないように見える。全然私の話をちゃんと聞いてくれない。」とも言われた。

 

その通りだった。

当時の僕はすごく忙しかった。たまたま色々なことが重なってしまい、常に何かの締め切りに追われているような状況が3ヶ月近く続いていた。

 

 

正直に言うと、当時の僕にとって彼女は

「やらなければいけないこと」よりも優先順位は低いと考えていたし、それを彼女もわかってくれているとも思っていた。

 

当時、彼女は自分の進路の相談をたくさん僕にしてくれたけど、僕の答えはいつも決まって

「きみの好きな方で良いと思うよ。」

だった。それは本心でもあったのだが、正直、彼女の相談事を深く考えてはいなかった。

 

それから少ししてから僕たちは距離を置くのではなく、別れることになった。

 

フラれた男のほとんどがそうであるように、僕は別れてからやっと彼女のことについてちゃんと考えるようになった。

 

彼女といると、朝が楽しかった。昼が楽しかった。夜が楽しかった。

だけど、それを僕が全部壊した。

 

 

「距離を置きたい。」と言われたその日も僕はかっこつけてずっとヘラヘラしていた。あなたがそうしたいならそうする?的な顔でずっといた。

 

それを見た彼女が悲しんでいるのがわかっていたのに、それでも僕はヘラヘラすることをやめなかった。本当はすぐにでも泣きたかったし、本心を彼女にぶつけたら、良い方向に戻れることもなんとなくわかっていたが、僕にはそれができなかった。

 

 

そんな自分が大嫌いになった。

彼女を大切にできなかった自分。彼女のことがわかっていたのに、わかっていないフリをしていた自分。最後まで本音を出せなかった自分。ずっと自分に言い訳してた自分。自分が悪いのに、自分が壊したくせに、被害者面して悲しがってる自分。

 

とにかく自分が嫌になった。

独りよがりな自分が嫌だった。何もできない自分が嫌だった。

なんで自分が生きてるのかもわからなくなっていた。

この先、自分の人生に楽しいことがあるという想像が一切できなくなった。

 

世間がクリスマスで華やかなムードの中、僕は逃げるように毎晩飲んでいた。

 

ひたすらバイトをして、お得意の効率の悪い方法でテストに向けて勉強をして、夜はアルコールを摂って、寝る。

 

ずっとそんな生活だった。

 

 

 

 

 

 

 

僕は寮に住んでいるのでありがたいことに、朝ごはんと夜ごはんを寮母さんが食堂で作ってくれる。

 

 

寮の食堂はおかずをカウンターでもらって、ご飯と味噌汁、調味料はセルフサービスになっている。

 

その日のおかずはハンバーグだった。

付け合わせにほんの少しの、蒸したニンジンとブロッコリーがあった。僕はそれに、マヨネーズをかけた。

 

席に着いて、改めて自分のハンバーグのプレートを見た。

ちょっとのニンジンとブロッコリーに対して、まぁまぁ多い量のマヨネーズがかけられていた。

 

僕は笑った。

 

さっきまで、「何が楽しくて生きてるのかわからない。」とか「自分はつまらない人間だ。」とか落ち込んでいたのに、ほんの少しのニンジンとブロッコリーを少しでも美味しく食べようと、僕はわざわざ調味料コーナーまで行って、マヨネーズを手に取って、まぁまぁな量をニンジンとブロッコリーにかけたのだ。

 

「いや、お前いま、ほんのちょっとのニンジンとブロッコリーを最大限楽しもうとしとるやないか!」

「ちょっとでも今日の夕飯を楽しもうと、マヨネーズまぁまぁな量かけとるやないか!」

「お前、少しでも自分の人生楽しもうとしとるやんけ!」

 

こうやって自分につっこみをいれたとき

あぁ。もしかしたら自分は大丈夫なのかもしれない。と思えた。 

 

自分はこの先の人生も、ちゃんと楽しもうとしている。

 

 

 

 

もちろん、それで完全に立ち直れたわけじゃない。

フラれたことはずっと引きずっているし、

今でも僕は自分があまり好きじゃない。

悩んでばっかりだ。

 

でも、あの日。彼女を失って、自分が大嫌いになっていたあの日。毎日暗い色しか見えてなかったあの日。

 

 

それでも、少しでもニンジンとブロッコリーを楽しく食べようとマヨネーズをかけた自分の図々しさを、僕は少し頼もしく思えたのだ。