黒歴史日記。

なで肩です。

日常のめんどくさいクイズについて

テレビをつけるとクイズ番組の多さに驚く。

 

確かにクイズ番組は見始めると面白く、いつの間にか自分が回答者になってノリノリで見てしまう。

 

 

僕たちはクイズが好きだ。

 

 

「これ、いくらで買ったと思う?」

主にアウトレットやセール帰りの友達から出題されるこの問題。

 

困る。すごく困る。

 

このクイズに関しては正解が、正しい値段を当てることではないからだ。

 

このクイズの正解は、なぜか自分が買ったモノの値段を嬉しそうにクイズ形式に出してきたこいつを、気持ちよくさせること。

 

これは難しい。聞かれた瞬間から自分の鼓動が早くなるのがわかる。どうしよう。死ぬほどどうでもいい…。

 

そもそもこいつはなんで、さっきからちょっとドヤ顔なんだろうか。

というか素直にすぐ値段を言ってくれたら、こっちだって

「え!見えない!やっっす!!これって普通に買ったら5000円はするよな!?」

 

と思ってもない呪文を、まぁまぁな大声で唱えられるくらいの世渡りはできるのに…

 

なんで、1回クイズ形式にして僕を試すようなことをするのか。

どうせ「え!安いね!」を言わせるためのフリなんだから、すぐに言えばいいのに…… 

 

なんて言うこともできず、僕は正解の絶妙な値段を探す。もちろん本当の値段より安く言うのはドボンだし、変に高い値段を言ってもそれはそれで、なんかわざとらしい感じになってしまう。

 

実は高校生までは

「うーーん。。10円!!!」

と言ってぼちぼちの笑いをとって、ぼちぼち折り合いをつけて、ぼちぼちその場を凌いでいたのだが、同じ相手に2回目以降は通じないうえ、大学生になった今、まったく面白くないことにも気づいてしまったので、僕はこの呪文を封印した。

 

大学生になってからの僕の必殺呪文は

「俺、同じようなのこないだ◯◯円で買ったからそんくらいかな?」

 

である。これだとそこそこ割高の値段を言っても、"自分が買った"という要素が入ることで白々しさ加減は緩和されるうえ、正解の値段より安い!なんてドボンももちろんない。

 

これで相手は

「残念!実は◯◯円でした〜!」

と正解発表したときに

"安く買い物をしたのを自慢できたこと"

"目の前のこの男よりお得な買い物をしたこと"

の2つの要素で気持ち良くなることができるのだ。

 

 

僕は、満足気にニヤニヤしている友達を見て、

「バカめ…お前は自分が出題者で俺を振り回しているつもりだろうが、本当は俺の書いたシナリオで踊らせているのはお前の方なんだよ…」

 

という心の声を抑えて

「まじかー、ショックだわ〜、俺も一緒に買いに行けば良かった〜」とダメ押しの一言を加える。

 

自分でも性根が腐ってると思う。

 

 

 

 

以前付き合っていた彼女は寝る前に

「私の好きなとこ◯◯個言って!」

と言ってくることがあった。

 

この瞬間、僕の頭の上にはネプリーグのあの大きな爆弾が投げられた。

 

(え!もう電気消したやん!え、え、寝ようや!寝ようや!え、え、今からファイブボンバーは無理やって!え、◯◯個!多くない!?てか一昨日もこの問題…え、やば、どうしよ。まじか、うわ…)

 

僕が答えに困っている間、どんどん彼女の機嫌が悪くなるのがわかる。部屋が真っ暗でお互いの顔が見えないのがせめてもの救いだった。

 

 

「もういい!私のこと好きじゃないんだね!おやすみ!!!」

 

 

「ゲーーームオーーーバーーー」

僕の頭上の爆弾は爆発した。

あの男のアナウンサーの声が聞こえて、僕の体は左右に振られた。敵チームの僕の失敗を、ホリケンが嬉しそうにいじってくる。

 

いじりをやめないホリケンに向かって僕は思わず

「いや、勘弁してくださいよぉ〜。」

と呟いてしまった。

 

 

彼女に聞かれてしまったか…

と心配だったが、確かめることは怖くてできなかった。